(※本記事は一般情報で、売買の推奨ではありません)
いま何が起きているか(出発点)
まず「現在地」を揃えます。
- ドル円水準:日銀公表の2/16時点スポットは、9:00で152.78–80、17:00で153.34–35。
- 日銀の政策金利:日銀は12月に短期金利を「0.75%程度」へ引き上げ。
1月会合でも「無担保コール翌日物を0.75%程度」へ誘導する方針を維持。 - 物価(米国):米CPIは1月に(季調)前月比+0.2%、前年比+2.4%。
- 物価(日本):日本の総合CPI(12月)は前年比+2.1%、生鮮除くは+2.4%。
この「金利差(米>日)」がドル円の基調を作り、そこへ「物価の粘り」「政治・財政リスク」が上乗せされて2026年の方向性が決まります。
結論(2026年の基本線)
**現時点の基本線は「ドル高・円安の惰性は弱まり、じわじわ円高(=ドル円は下方向)になりやすい」**です。理由はシンプルで、
- 日銀は0.75%まで正常化を進めており(必要なら追加利上げが視野に入る)
- 米国はインフレが鈍化し、利下げ再開が意識されやすい(=金利差が縮小しやすい)
なので2026年は、“下がりやすいが、戻りも大きい”――この前提で読むのが一番ブレません。
1. 金利差:ドル円の主エンジン(でも“差”より“方向”)
重要なのは「いま何%か」より「これから縮むのか、広がるのか」
- 日銀:0.75%を起点に、追加利上げ観測がくすぶる。
- FRB:3.5–3.75%を維持しつつ、インフレ次第で利下げ時期が焦点。
ここで市場が最も反応するのは、
- 日銀が「利上げを早める/継続する」サイン
- FRBが「利下げを遅らせる/再加速する」サイン
のどちらが強いか、です。
2026年に起きやすい“金利差ストーリー”
- ベース:FRBは慎重に緩和、日銀は慎重に正常化 → 金利差は縮小方向 → ドル円は上値が重くなりやすい。
2. 物価:インフレの「数字」より「中身」
米国:インフレ鈍化でも“粘る項目”がある
米CPIは前年比+2.4%まで落ち着いてきています。
ただしサービスなどが粘れば、FRBは利下げを急げません(=ドル金利が高止まりしやすい)。
日本:総合は鈍化しても、基調が残ると日銀は動ける
日本の総合CPIは12月に前年比+2.1%。
ここで鍵なのは「賃金→サービス価格→基調インフレ」の流れが続くかどうか。日銀側も、物価の先行きと政策の関係を丁寧に発信しています。
3. 政治リスク:2026年の“読みにくさ”の中心
日本:財政・税制と日銀の距離感
2月の政局は「日銀の独立性」や「財政運営」を連想させやすく、円と債券のボラティリティ要因になり得ます。
特に市場が嫌うのは、次の2点です。
- 大規模な減税・財政拡張が“金利上昇(国債売り)→円売り”につながるシナリオ
- 日銀人事・政治発言が“政策の予見性”を損なうシナリオ
米国:景気・インフレだけでなく“政策ショック”
関税・対外政策などのショックは、(リスク回避の円買いもあれば)米金利の上振れを通じたドル買いもあり得て、反応が単純になりません。日銀側の見通し文脈でも対外環境の影響は論点になります。
4. 2026年ドル円:3つのシナリオで整理
数値を断定するより、条件分岐で持つほうが実戦的です。
シナリオA(円高=ドル円下落が進みやすい):金利差が素直に縮む
- 条件:米インフレ鈍化→FRB利下げ観測が強まる/日本は基調インフレ確認→日銀が追加正常化を示唆
- 典型反応:米金利低下+円金利上昇 → ドル円は上値が切り下がりやすい
シナリオB(レンジ):どちらも“慎重”で材料待ち
- 条件:FRBは据え置き長期化、日銀も様子見
- 典型反応:材料のたびに上下するが、トレンドが伸びにくい
シナリオC(円安再燃=ドル円上昇):日本の政治・財政リスクが前面に
- 条件:財政拡張・政策の予見性低下が意識される/日銀が慎重姿勢を強める
- 典型反応:国内金利上昇(国債不安)でも円が買われない局面が出る
5. 2026年の注目イベント(“事前に知っておく”だけでブレが減る)
- 日銀会合:日銀は2026年の金融政策決定会合日程を公表しています。
- 日本CPI(全国):1月分の全国CPIは2/20公表予定。
- 米CPI:BLSの公表スケジュールが明示されています。
6. 迷ったときのチェックリスト(最短で全体像に戻る)
- 金利差は「縮む方向」か?(FRBの利下げ時期・回数 vs 日銀の正常化ペース)
- インフレは“基調”が残っているか?(米はサービス、日本は賃金・サービス)
- 政治が“予見性”を壊していないか?(日銀の独立性・財政懸念・人事)
- 相場がリスク回避(円買い)なのか、金利差(ドル買い)なのか?
└ 同じニュースでも反応が割れるので、まず「どっちが支配的か」を確認
よくある質問(FAQ)
Q1. 結局、2026年は円高?円安?
A. 基本線は「金利差縮小→円高寄り(ドル円は下)」ですが、政治・財政リスクが強い局面では円安方向への巻き戻しも起きやすい年です。
Q2. 一番効く材料は何?
A. “瞬間風速”は政治リスクでも、トレンドのエンジンは依然として金利差です(FRBと日銀の方向感)。
Q3. 直近で見るべき指標は?
A. 日本は全国CPI(2/20予定)、米国はCPIと雇用関連。少なくとも「次の一手の条件」が揃うまでは、シナリオで構えるのが安全です。
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まとめ
- 2026年ドル円は、**金利差が縮むなら下(円高)**が基調になりやすい。
- ただし、日本の政治・財政と日銀の距離感がブレると、円安方向への再加速もあり得る。
- 予想を一本化せず、**3シナリオ(円高・レンジ・円安再燃)**で「条件」を追うのが最も再現性が高い。

